雑記

珍しく月に二回の投稿を行うけど、どうしても感想をまとめておきたかったので。

 

ネットフリックスにあったので、すげぇ興味本位と野次馬根性で『ドラゴンクエストユアストーリー』を見たのよ。

これがまぁ、面白かったんだわ。

つっても、これは真っ当な評価ではないことは最初に断っておきたい。

だからと言って、別にネタ映画として楽しんだというわけでもない。

俺はユアストーリーのギミックというか、大オチをある程度知ったうえでこの映画を見ていたから、楽しみ方をわかった状態で見られたので、ちゃんと楽しめたんだと思う。

これは『発売日に新品を買った人間』と『中古で投げ売りされていたものを買った人間』の間で感想が大きく違う現象に近いと思う。

例えば、FF15を発売日にワクワクして購入した人間と、中古で500円で買った人間では、その感想に大きな隔たりがあるように。(俺はFF15は500円で買ってもクソだと思った)

 

大筋でいうと、ドラゴンクエスト5の再構築というか、映画という尺に収めるために大幅なカットを入れて、どうにか魔界突入までの話をまとめたって感じ。

大まかにいうと、ラインハットに着くまではゲーム画面を交えたダイジェスト、ヘンリーが捕まってパパスが死ぬまではサクッと、奴隷編もサクッと、そこからラインハットでの偽皇后なんかはすっ飛ばして、ゲレゲレだけ拾ってサラボナ、結婚イベントあたりはある程度ちゃんとやって、グランバニアとかは全くなかったことにして、子供は双子じゃなくて一人になって、石化されて、ムスコスが大きくなって助けてくれて、山上の神殿でラストバトル、みたいな。

合間に妖精の国が入ってきたり、プサンが妙な場所にいたり、そんな感じだった。

ドラクエ5をやってたらアレがないじゃん! とか、このイベントがないのはおかしい! みたいな感想はあると思う。

でも映画の尺に収めるならまぁ仕方ないよな、って納得はできると思うんだよな。

天空城がなくなったのはちょっと残念ではあるけど、それもまぁ、しゃーない。

ジャミとゴンズがそれぞれ一撃で倒されたのもしゃーない。

それはもう、尺っていうどうしようもないルールの上で成り立たせるには仕方ないのよ。

んで、そう考えてみればフローラが普通に可愛かったりとか、ビアンカにプロポーズするところが良かったりとか、ラストバトルで主人公のピンチにヘンリー(+ラインハットの兵士諸君)とブオーンが助けに入ってくれたりとか、色々頑張ってる面なんかいっぱいあった。

映画という土台の上に、どうにかドラクエ5を乗っける中で、仕方なくカットした部分を補うための演出強化はとても頑張ってたと思うのよ。

アクションシーンもすごく動いてたし、アニメーションはとてもよくできてた。

ドラクエ5を再編集した部分に関しては、仕方がないルールの中で最大限頑張っていたと思うわ。

で、問題のラストだけど、あれもまた最初から知っていれば見かたが変わると思うよ。

何も知らずに映画を見に行った人間からしたら、急にメタなものを出してきて、ドラクエ5の映画を見に来たつもりなのに、変なものを混ぜてるんじゃねぇ、って思うだろう。

ただ、そういうモンが混じってくるよ、と理解して見てみたら、あれは製作者がウィルス側の意見を持っているのではなく、主人公側の意見なのかもな、って思えると思うんだわ。

なんも知らんで映画を見た人間からしたら、製作者が『いつまでもゲームなんかやってんじゃねーよ』って言ってきた、と思う可能性もあるでしょう。

だってあんな奴、ドラクエ5にいないんだもん。ねじ込んできたってことはアレが製作者の意見だ、って感じるかもしれない。

でもむしろ、あれは製作者も『いつまでもゲームなんかやってんじゃねーよ』って言われた経験があって、それに対して反論のアンサーとしての映画なんじゃないかな、と思うわ。

自分が夢中で楽しんでいたゲームという世界、その世界観をぶち壊すように外側から冷やかす人間が現れて、でもゲームの世界はプログラムであってもプレイヤーの経験ってのは本当の世界なんだ、っていう意見。それこそが製作者のモノなんじゃないかなって感じた。

最後の最後に唐突に現れたっていうのも、たぶん、そういう冷めた意見を投げてくるヤツってのは無粋な奴で、プレイヤーが盛り上がってるところでもお構いなしで差し込んでくるし、作中のセリフでもあったように誰かの『暇つぶし』でしかないんだよ、っていうことなんだと思う。

でもそんな奴の事なんか知らん、ゲームの世界だって大事な世界だっていうアンサーが、おそらく製作者がずっとプレイしてきたドラクエを象徴するロトの剣であり、この映画だったんだろうな、と。

全体的に見て、俺は割と好意的な感想を抱いたよ。

でも、重ねて言うけど、これは初見の真っ当な評価じゃなく、ある程度のギミックを知りながら、冷やかしのつもりで見た人間の感想である。

公開日に近い日に、ほかの人間の評価を全く聞かずに映画を見た人間は、やっぱり裏切られたって感想に近いものを抱いて、仕方ないと思うわ。

 

この映画の一番の問題は、題材をドラクエ5を持ってきたことで、最初から元ネタのないファンタジーの世界でやればよかったんだと思うわ。