雑記

昔、運営していたブログにて、読んだラノベの感想とか書いてたんだけど、ここでもそれをやらせてもらう。

というのも、ツイッターで感想書こうとすると半分くらいdisになりそうだから、他者に対するdisを回避するために開設したこのブログの意義に合致するからだ。

 

今回読んだのは小泉花音は自重しないというラノベ

GA文庫で奨励賞をもらって出版となったらしいのだが、この作品、まぁどこをとっても古臭いものばかり。

タイトルからすでに『〇〇は××ない』という定型にも近い形で構成されており、内容に至っては九十年代後半くらいのにおいしかしない。

キャラクター造形、キャラクター配置、地の文(一人称)のテイスト、掛け合い、どこをとっても新しさの欠片も見当たらない。

なんなら特殊能力に対してルビを振っているそのセンスすらも古臭さすらある。

でもこれは別に、全力のdisというわけじゃない。

なんなら、俺みたいな古いオタクに対しては、若干の安心感すら覚えさせてくれる作風と言えよう。

ただ、今回は最近のラノベの作風を勉強するつもりでこれを購入したので、その点では残念至極と言わざるを得なかった。

下記に幾つか要素を分割して評したい。

 

キャラクターに関して、古臭い。

主人公、ヒロイン、サブヒロイン、敵役に至るまで、目新しさは一つもない。

ただ、メインヒロインの性格や振る舞いなどは好みだったし、琥珀さんも悪くはなかった。個人的には好きだったよ。

ただ、やっぱり古臭いんだよね。

既視感があるというか、なんかこう……焼き増し感があるというか。

それに対して安心感もある程度はあるんだけど、突出した個性にはつながってないかな、って感じはする。

特にぽっと出に近い敵役なんかは魅力を感じられなかった。

総じて、特に言い連ねることはない、かな。

 

ストーリーに関して、見え透いている。

なんならミスリードを疑うくらいに、序盤から展開が読める。

王道ってわけでもない。一応、ある程度大きなギミックを組み込んでるんだけど、それがまぁ序盤で見透かせる。

これはある程度、作者が『バレてもいいや』ってレベルでわかりやすいように書いた節すらあるから、別にそれほど論う点でもない気がするけど、だとしたら特段言うこともなくなるっていう……。

ただまとまっていると思う。

ちゃんと尺に収められるってのは、いいことだと思うよ。

綺麗に始まって、綺麗に終わったかな、という。

特に引っ掛かりもなかったし。後述する点以外は。

 

文体に関して、懐かしさすら感じる。

なんつーの? エロゲ全盛期を彷彿とさせるような掛け合いというかね。

地の文も一人称だし、基本的にはヒロインとの掛け合いでお話が進んでいくから、会話劇になりがちってのもあるんだけど、まー古臭い……っていうと悪口になるけどさ。

なんか、こういうのも奨励賞取るんだ、って思うと逆に安心するよ。

ただやっぱり特に面白い言い回しがあったわけでもなし、何ならルビに関して鬱陶しさを覚えるくらいだったから、マイナス要素ですらあったんだけども。

なるほどな、って感じ。

 

俺が感じた最大の批判点は、最終決戦なんだけども。

なんかこう……主人公が『目に見えている範囲限定で、物質を瞬間的に移動させる』っていう能力を持ってるのね。

主人公が持っている得意能力は、いくつかの能力が複合していて、その中でも低燃費で自由に使える能力ってのが、その転移能力らしいの。

生物には通用しないけど、物質ならばガラスなどの障害物を通り抜けて手元に引き寄せられるし、手の届かない場所へも飛ばせるらしいの。

んで、最終局面で敵が使った能力っていうのが、金属を自在に操る能力で、たぶん質量とかも無視して肥大化させたりとかしてたと思うの。

自分の身にまとっている金属なら、ある程度好きなように操れます! みたいな感じだったんだけども……。

だったら、主人公の能力でその金属を全部どっかにすっ飛ばせばよかったじゃん?

屋外での戦闘だったわけだし、見える範囲なら空高くまで飛ばせたわけじゃん?

じゃあ、なんでそれをしないのよ……?

だったら元の姿に戻る必要すらなかったよね?

なんなら空高くでなくとも、延々とご高説を垂れてる敵の口の中にめがけて、大質量のモノを転移したらよかったじゃん?

どうやらプールの監視台とかでも楽勝で転移できるらしいわけだし、敵の口の中だって口を開いているなら見える範囲じゃん?

相手にヒーラーがいたようだけど、頭を破裂させたら流石に無理でしょ? そも、ヒーラーは牽制してて自由に行動させてなかったわけだし。

そうでなくとも、中学生が銃器を携行できる世界観なわけだし、犯罪者に対応する職に就いている主人公やヒロインが、敵を無効化できそうな薬品の所持くらい出来てもいいと思うのよね。

それを咄嗟に相手の口の中に入れたりしたら、それで鎮圧じゃない?

そんな簡単なことをせずに、自分の考えた超かっこいい能力として神話武器を錬成してそれを操って倒す! みたいなシーンを優先させられて、それでいて主人公が『俺はヒロインよりも経験とか積んでますから! 状況判断とかアイツより上ですから!』みたいなことを言われましても……。

もうその事が頭にチラついて、最終決戦には心がついていかなかったよね……。

 

総評としてはどうでもいいことこの上ない作品だった。

好きの反対が無関心っていうなら、もう最低評価を下さざるを得ない。

でもこれが奨励賞を取れるっていう見地を得られたのは、俺としては得だったかな、と思わなくもない。

そんな感じ。

いやー……マジでこのご時世にこんな作品が出回るんスね。

今の子たちにとっては、ある意味新しい作品なのかもしれないわ。